日本学術振興会の先端研究拠点事業として、国際研究交流プロジェクト「ラボ交換型生命医科学研究コンソーシアムの立体展開」が採択されました。
2014年度から2018年度まで運営されたこのプロジェクトでは、早稲田大学とシンガポール国立大学(NUS)、ボン大学(LIMES)、イタリア技術研究所(IIT)、UCLA医学部の間で研究者・学生を相互に短期間派遣することで、若手研究者を育成し研究機関同士の研究交流を図りました。また、毎年一度のシンポジウムを開催しました。若手研究者・学生がこのプログラムを利用して交流機関を訪問し、異なる分野の知己を得て、異分野間共同研究を発展させることができました。
このプログラムでは、早稲田大学の健康/生命医科学分野の学部、修士、博士課程の学生が、ドイツ・ボン大学のLife & Medical Sciences Bonn Institute(LIMES)に設置されている早稲田ラボ(WASEDA in LIMES)とLIMES教員のラボに夏季休業期間を利用して14日間滞在し、派遣先教員の指導とLIMES学生との交流を通じて研究に必要な知識とスキル、コミュニケーション力とリーダーシップを身につけます。
そして、最終日に開催される合同シンポジウムにおいて、研究成果を発表します。このプログラムに参加した学生の多くは、自分の研究をさらに深める面白さに目覚め、博士課程に進学しています。
私は学部4年時に、ボン大学で免疫学専門のLatz研究室を訪問し、免疫という新たな側面から自身の研究への理解を深めました。本プログラムを通して、知識や技能の習得以上の価値ある経験ができました。滞在中は博士課程の学生に丁寧にご指導頂き、最新機器の操作による実験技術の習得、及び持参したサンプルの検証を行いました。
加えて、臨機応変な計画の修正や論理的な考察など、研究者の根幹となる能力も学びました。最終日の実験報告会では、失敗も含めて英語で発表し、有意義な議論ができたと感じています。技能以外では、活発な研究環境に刺激を受けました。例えば休憩スペースでは、気軽に実験の相談を行なっており、風通しの良さに魅力を感じました。
この経験を通して、語学力や主体的な姿勢など未熟な点も発見できたほか、多様な背景や志を持つ学生と接する楽しさにも改めて気付きました。このような貴重な機会に恵まれたことに大変感謝しています。
先進理工学研究科では、UCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)との協定のもと、約10週間、UCLA内の研究室で研究指導を受けるCSSTプログラムに学生を派遣しています。
現地研究室ではメンター制度が整備されており、メンターの研究室での研究従事に加え、座学としてのカリキュラム聴講、学生間の社交イベント等を通じて、効果的に国際性を身に着けることができます。
CSSTプログラムはアジアの大学の“学部生”に対してUCLAの大学院への進学リクルートを目的として整備されたものですが、本格的な研究活動をスタートした“修士課程”の在学生が、海外での研究体験を通して今後のより意欲的な研究活動への動機を得られる機会ともなっています。