先輩VOICE

朝比奈 諒 埼玉県 / 早稲田大学本庄高等学院

「知りたい」をとことん

大学院では、学部生時代と違い、研究が主体の生活となります。生命医科学専攻では、医学や理工学の様々なバックグラウンドを持つ先生方のもとで日々研究が行われています。研究のテーマは、生物現象のメカニズムの解明や微生物の解析、疾患の病態解明や臨床応用を目指した研究、またこれまでにない新たな実験手法・装置の研究まで幅広く取り扱います。この多様さが当専攻の良さの一つだと思います。

現在私は、パーキンソン病のモデルマウスを用いて、CRMP4という遺伝子の役割を解析しています。疾患や遺伝子についての理解を深めるとともに、遺伝子治療やその倫理的側面についても考えさせられます。研究では未来の新発見が約束されているわけではなく、仮説に基づいて実験を行なっても、日々失敗や解釈に悩む結果に付き纏われます。時には大きな挫折感を味わうこともあります。昨今のコロナ禍では一時研究ができなくなるなど予想外の停滞もありました。そんな時に重要なのは物事を冷静に見つめ、次にどうするべきか考えることです。試行錯誤して上手くいくと大きな充実感が得られます。失敗の中に思わぬ発見が隠れていることもあります。また周りの仲間との交流で新たな視点に気付かされることも多く、大きな支えとなっています。

高校生の頃の自分は、今のような生活を全く想像していませんでした。漠然と興味のあった生物について取り組んでいるうちにいつの間にかここまで辿り着いてしまいました。「我々は何者か、どこから来て、どこへ行くのか」といった問いや、「知りたい」「こうしたら面白い」といった好奇心は我々が誰しも持つ根源的な欲求だと思います。今自分はそのような欲求を追求できる場を得、今しばらく研究に携わりたいと考えています。これから大学進学を考えているみなさんにもぜひ好きなことを追求し、その楽しさを味わって欲しいと思います。