先輩VOICE

大町 聡子 大阪府 / 私立四天王寺高等学校

東京女子医科大学と連携する生命医科学科

私は、自己免疫性膵炎の発症機序について東京女子医科大学と共同研究をしています。自己免疫性膵炎とは、自己免疫により膵臓が異物として認識、攻撃されることで生じる炎症性疾患です。その詳細な原因は未だ明らかにされていませんが、現在までに、大腸菌の菌体成分が発症に関与することが報告されています。すなわち、自己免疫性膵炎の発症機序を解明するためには、細菌および免疫の両面からアプローチする必要があります。私が所属する常田研究室は、微生物に特化した研究室です。同じ常田研究室の先輩方と先生から、細菌に関する研究において助言をいただきます。一方、共同研究先の東京女子医科大学の先生方からは、免疫に関する研究で、専門的な知識だけではなく実験手法など、多岐にわたり指導を受けています。大学の枠を超えて、免疫の分野に精通する研究者が身近にいる環境は、研究する上で非常に恵まれていると日々感じています。このように、東京女子医科大学と連携する生命医科学科には、多角的な視点をもって研究に取り組める素晴らしい機会があります。そして、細菌と免疫、つまり理学と基礎医学の両面を持つ研究テーマに私が挑戦できるのは、理工学や基礎医学の分野を扱う生命医科学科で、講義を受け、実験手法を身に付けてきたからだと考えています。

私はマウスや大腸菌、培養細胞、タンパク質、核酸などを実験対象としており、それぞれのサンプルについて解析する充実した研究生活を過ごしています。しかし、実際は、研究の多くは思うように進まず、辛い思いを抱くことがあります。そういった状況においても、東京女子医科大学の病院に通っている自己免疫性膵炎の患者さんのために、研究を少しでも前に進めようと自らを奮い立たせることができます。基礎研究と臨床との距離が近く、研究へのモチベーションに繋がることも、生命医科学科の強みだと思います。